三重県松阪市の医療と介護の専門家 

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世界禁煙デーと受動喫煙としての三次喫煙

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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こんにちは!

三重県松阪市の医療と介護の専門家、

西井医院の院長(  @nishii.hospital)です。

 

5月31日から6月6日までは世界禁煙デーです。

厚生労働省のホームページによると

世界保健機関(WHO)は、昭和45年にたばこ対策に関する初めての世界保健総会決議を行い、平成元年には5月31日を「世界禁煙デー」と定め、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指した「たばこか健康かに関する活動計画」を開始した。厚生労働省においても、平成4年から世界禁煙デーに始まる一週間を「禁煙週間」として定め、各種の施策を講じてきたところである。

とのことです。

今年度のポスター

 

今年のテーマは

「2020年、受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子ども達をまもろう~」

です。

 

三次喫煙とは

HealthDay News 2018年5月9日によると

誰もいない禁煙の部屋内でも、空気中にたばこの煙の残留物(副流煙残留物)に関連する微粒子が多く浮遊していることが明らかになった。

こうした残留物から有害物質を吸入することは「三次喫煙(third-hand smoke)」と呼ばれている。

禁煙エリアであっても、煙の粒子が換気装置を通して、あるいは衣類によって運ばれて壁や家具に付着する。これらは除去が難しく、何年にもわたり有害な化学物質を放出し続けることがある。

今までは副流煙による受動喫煙(二次喫煙)防止の対策は取られていました。

これが喫煙者の衣服についた有害物質が禁煙エリアに一緒に入り除去も困難となると、三次喫煙防止のためには着替えてから禁煙エリアに入ってくださいとなりそうです。

奈良県生駒市では4月1日から、職員による職務時間内(昼休みを除く)の喫煙を禁止するとともに、喫煙後45分間のエレベーター使用を禁止する。

との毎日新聞の記事がありました。

さすがに喫煙後45分は職場に戻るなとは出来ませんが、英断だと思います。

職場などで屋外へ煙草を吸いに行った人が戻ってくると匂いますが、匂うだけでなく健康への悪影響も及ぼすとなると(吸わない人からすると)出社から帰宅まで吸わないでくださいとなります。

 

受動喫煙防止の法律の経過

今でこそ公共の場での禁煙は当たり前ですが、受動喫煙防止のための法律の歴史を記すと

1996年2月に「職場における 喫煙対策のためのガイドライン」(旧ガイドライン)

  • 喫煙室の設置
  • たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式又はたばこの煙を除去して屋内に排気する方式(空気清浄装置)のいずれかの方式によること

 

2000年に厚生省事務次官通知等により、国民健康づくり運動として「健康日本21」が開始。

 

2003年に施行された健康増進法の第25条において、「多数の者が利用する施設」での受動喫煙の防止が義務づけられました。

これがいわゆる「受動喫煙防止法」となります。

 

2003年5月に「職場における 喫煙対策のためのガイドライン」(新ガイドライン)

  • 非喫煙場所にたばこの煙が漏れない喫煙室の設置を推奨すること
  • 空気清浄装置はガス状成分を除去できないという問題点があることから、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式の喫煙対策を推奨すること

 

2015年6月に労働安全衛生法が改正され「職場における 喫煙対策のためのガイドライン」が廃止。

労働者の受動喫煙を防止するために、事業者の実情に応じた適切な対策をすることが事業者の努力義務になりました。

 

2018年3月9日に受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案を閣議決定されました。

多くの人が利用する公共の場での禁煙を初めて罰則付きで義務づけることになります。

これまで受動喫煙防止の努力義務しかなかった飲食店も原則屋内禁煙となります。

2020年東京五輪・パラリンピックまでの全面施行を目指していますが、小規模の既存飲食店には掲示をすれば喫煙を認めるなどの例外規定もあります。

規制は、建物外も含めた「敷地内禁煙と、建物内だけの「原則屋内禁煙2段階です。

学校や病院、行政機関などは敷地内禁煙、事務所や飲食店、ホテルの客室以外、老人福祉施設、運動施設などは原則屋内禁煙を適用します。

喫煙ができる場所へは20歳未満の客や従業員の立ち入りを禁止し、施設管理者に立ち入らせない努力義務を課します。

禁止場所での喫煙などには最大50万円の過料。となっています。

 

受動喫煙防止対策助成金

国も職場での受動喫煙防止のための助成金を作っています。

 

助成対象は

・一定の要件を満たす喫煙室の設置に必要な経費

・一定の要件を満たす屋外喫煙所の設置に必要な経費

・喫煙室・屋外喫煙所以外に、受動喫煙を防止するための換気設備の設置などの措置に必要な経費

 

助成率、助成額は

喫煙室の設置などに係る経費のうち、工費、設備費、備品費、機械装置費などの 2分の1(飲食店は3分の2) 。

上限は100万円です。

 

詳しくはこちらの厚生労働省のサイトを参照してください。

 

学校や病院、行政機関などの敷地内禁煙の場所は吸いたい人がいる場合、敷地外に喫煙所を設置しなければならなくなります

喫煙所を設置する場所の余裕がない場合や敷地が広い場合は喫煙自体を諦めてもらわざるを得ないかもしれません。

当院も敷地が広いこともあり現在は敷地内禁煙に出来ていませんが(屋内禁煙には当然なっています)、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の決定により受動喫煙予防のため敷地内禁煙にしていく予定です。(2019年4月より敷地内禁煙となりました。)

喫煙場所を作ると半額補助が出るのは有難いですが、残りの半額は出資しないといけません。

喫煙場所を作っても儲かるわけでもないので、喫煙者たちが自分たちでお金を出し合って残りの半額を出して欲しいというのが本音です。

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