風疹の症状と検査、感染経路と合併症、かかった時の対応
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風疹が首都圏を中心に流行りだしています
風疹(rubella)は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症です。
症状は不顕性感染(ふけんせいかんせん:症状が出ない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、臨床症状のみで風疹と診断することは困難な疾患です。
潜伏期は数週間、前駆期は2日以内です。
小児ではほとんど気づかれない程度の食思不振、全身倦怠感、軽度発熱、表在リンパ節腫脹が見られます。
発疹期には熱発を伴い、顔から全身に紅色丘疹が出現、耳後部、体幹、四肢に拡大します。
個々の発疹は粟粒大で、顔面、体幹では融合して見られることもよくあります。
発疹は色素沈着を残さず3日で消えるので三日はしかとも呼ばれています。
成人になってから発症すると、前駆期、発疹期ともに小児で発症した場合と較べて、より症状が強くなる傾向が見られます。
他の特徴的な所見・有痛性リンパ節腫脹 (特に耳介後部、後頭部、頚部)
・関節痛
・眼球結膜充血
・軟口蓋の毛細血管拡張 (Forschheimer’s Spot)
まれに脳炎、多発性神経炎や血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などを合併することが知られています。
風疹の感染経路
風しんウイルスの感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。
せきやくしゃみなどによって飛び散る飛沫に含まれる風疹ウイルスが、口や鼻などの粘膜に直接触れて感染します。
通常は1~2メートル以内の至近距離で感染します。
風疹の検査
風疹の検査は2種類あります。
一つ目は過去に風疹がかかって(又はワクチンを打って)免疫を持っているかどうかを調べるもの。
(抗体検査と言います)
もう一つは現在、風疹に感染したかどうかを調べるものです。
風疹の免疫を持っているか調べる抗体検査(HI抗体法)
・8倍未満(-):風疹の免疫がありません。予防接種をしましょう。
・8~16倍(+):現時点では免疫はあります。女性は先天性風疹症候群の予防には32倍以上の抗体価を維持することが望ましいです。追加の予防接種をお勧めします。
・32倍以上(+):免疫はあります。現時点では追加接種は不要です。但し、加齢とともに免疫力が低下することはあります。
風疹に感染しているかどうか診断する検査
風疹ウイルス特異的IgM検出法
発症後の一時点の検体のみで診断します。
特異的IgMの検出は風疹の診断に有用で、 WHOはこれを実験室検査の標準法として推奨しています。
風疹ウイルス遺伝子検出法
ウイルス遺伝子検出法には, 咽頭ぬぐい液, 血液, 尿などが検体として用いられます。
いずれの検体も発疹出現時期に近いほど検出率が高いです。
特に咽頭ぬぐい液や尿では7日目程度まで検出できます。
風疹と診断した時の対応
医師は直ちに最寄りの保健所に届け出が必要
平成30年1月1日から、感染症法に基づく風しん患者の発生届は、診断後、「直ちに」届出ることになりました。
原則として全例について行政検査(ウイルス遺伝子検査)を実施します。
患者のすべきことは
先ほどの臨床経過を見ると、発症後1週間は他人へ感染させるリスクがあります。
風疹が疑われたら、1週間は人の多い所へは行かないようにしましょう。
先天性風疹症候群の予防のためにも妊婦さんが来るところへは特に行かないようにしてください。
外出時は必ずマスクを着けましょう。
風疹の治療薬はありません。対症療法を行い、安静にしましょう。
場合によっては大人の学級閉鎖もありです
風疹の感染予防対策については、夫婦やカップル、同居の家族だけでなく職場にも求められます。
主な風疹感染者は、抗体がない者が多いとされる30~50歳代の男性です。
症状が軽いと休暇を取得せずに出勤を続けることで、職場や通勤経路で感染を拡大させてしまいます。
職場などの健康管理者が就労中の妊婦を風疹感染から保護する適切な対応策を行ってくれると良いのですが…。
今の時点では風疹抗体がない妊婦さんは、健全な妊娠を維持するために自己防衛せざるをえないです。
社内で風疹感染者が発生した場合、妊婦さんは出社を控えることが重要です。
インフルエンザによる学級閉鎖と同程度の意義があります。
西井医院では風疹ワクチンの接種を行っています
風疹ワクチンは予約制となります。
電話にて風疹ワクチン接種希望の旨を伝えてください。
入荷後に連絡させていただきます。
追記
39~56歳男性の男性が無料で風疹ワクチンが打てるようになります
首都圏などで感染が拡大している風疹について、厚生労働省は12月11日、定期予防接種の機会がなかった現在39~56歳の男性を対象に、2019年から21年度末までの約3年間、全国で原則無料でワクチン接種を実施する方針を発表した。
無料接種の対象は1962年4月2日~79年4月1日に生まれた男性。これらの男性は抗体保有率が約80%と他の世代より低く、予防接種法上の定期接種に位置付けて原則無料化し、東京五輪が開幕する20年7月までに85%以上へ引き上げることをめざす。
ワクチンを効率的に活用するため、対象者はまず抗体検査を受け、結果が陰性だった場合に限って予防接種を受ける。18年度第2次補正予算などにより、抗体検査も原則無料にする。
対象者は居住地の市区町村内の医療機関で抗体検査や予防接種を受けるが、企業の勤務者は、職場の健診の際に抗体検査を受けられるようにする。既に先行して無料の抗体検査を実施している自治体もあることを踏まえた公明党の主張を受け、厚労省は、統一して対策を進めるためのガイドラインを作成する。
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