血液検査で調べる胃がんリスク検診(ABC検診)の結果について解説
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
胃がんリスク検診(ABC検診)を受けた人が増えてます
職場の検診や人間ドックで胃がんリスク検診(ABC検診)を受けたことがある人が増えてきました。
検査結果に「ヘリコバクターピロリ抗体」とか「ペプシノゲン検査」と書いてあると思います。
ところでヘリコバクターピロリ抗体やペプシノゲン検査の意味は知っているでしょうか?
今回はヘリコバクターピロリ抗体やペプシノゲン検査の意味とABC検診後の流れを説明します。
なぜヘリコバクターピロリ抗体やペプシノゲンを調べるのか
胃がん早期発見を目的として、検査を行っています。
ただし「ヘリコバクターピロリ抗体陽性=胃がん」ではありません。
「ペプシノゲン陽性=胃がん」でもありません。
ヘリコバクターピロリ抗体とは
ヘリコバクター・ピロリは人の胃粘膜に棲息する菌です。
胃内の強い胃酸存在下でも菌の周囲を中性に保ち、胃の中に存在することができます。
ヘリコバクターピロリは胃、十二指腸潰瘍や胃がんと強い因果関係があります。
ヘリコバクターピロリ抗体は基本的に現在ヘリコバクターピロリに感染しているかどうかを調べる検査です。
「基本的に」と書いたのは、感染して慢性胃炎が高度に進行するとヘリコバクターピロリが住む場所が無くなり菌が消えてしまうとことがあることや、除菌後しばらくはヘリコバクターピロリ抗体が陽性となっているからです。
ペプシノゲン検査とは
ペプシノゲンとは胃の粘膜から分泌される消化酵素「ペプシン」を作る物質のことで、食べ物の消化を助ける働きがあります。
胃液中のペプシノゲンⅠ(PGⅠ)、ペプシノゲンⅡ(PGⅡ)とよばれる消化酵素は一部が血液中で測定できます。
PGⅠ、PGⅡ、PGⅠ/Ⅱ比を組み合わせることで、胃粘膜萎縮の程度を評価するのがペプシノゲン検査です。
胃粘膜の萎縮がある程度進むとペプシノゲン検査陽性となります。
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胃がんABC検診とは
ABC検診とは、胃がんになるリスクを血液検査により分類する検診の方法です。
血液検査で、血液中のヘリコバクターピロリ抗体とペプシノゲンの2つを測定します。
それによりA~Dの4群に分類します。
A 群の胃がんリスクを1とするとB群は4.20、C群は11.23、D群は14.81とリスクが高くなります。
ABC検診でB~D群と判定された方へ
胃カメラをせずにヘリコバクターピロリ除菌だけではだめか?
ABC検診は、胃がんリスクを評価する検査です。
実際の胃がんを含めた病気の有無を確認することはできません。
また、ヘリコバクターピロリの除菌を医療保険で実施するときは胃カメラにより胃炎などの指定された疾患の診断が必要となります。
そのためABC検診と胃カメラ検査はセットと考えていただいた方がよいです。
ヘリコバクターピロリ除菌はしないといけないか?
胃がんの発生予防効果を期待して除菌をすることが強く勧められています。
また、除菌治療は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などに対しても予防や再発を防ぐ効果があります。
このため除菌治療を強く勧めます。
除菌治療はPPIと呼ばれる胃酸分泌を抑制する薬と、2種類の抗生剤を1日2回、合計7日間内服する方法が一般的です。
副作用として多いのは約10~15%に下痢が生じるとされています。
また除菌治療は飲酒喫煙により除菌成功率が低下したり、一部の薬剤では副作用は起こりやすくなります。
できるだけ除菌期間中は禁煙禁酒が望ましいです。
除菌治療はどうやって判定するか?
除菌治療が成功したかどうかは、内服治療後、1ヶ月以上経過してから検査をします。
当院の外来では、患者さんの負担が少なく、簡単で、検査の信頼性が高いとされる尿素呼気試験(UBT)によって、除菌判定を行っています。
胃カメラではなく、バックの中に息を吐くだけの簡単な検査です。
除菌が失敗した時はどうするか
ピロリ菌の薬を飲んだときの除菌成功率は、1次除菌の場合は90%程度です。
必ず除菌できるわけではないので、尿素呼気試験などで判定する必要があります。
1次除菌に失敗した時は2次除菌といって、別の種類の薬剤を使って除菌治療を行います。
ただし、保険適用は2次除菌までです。
1次除菌と2次除菌に失敗したら、患者さんの希望により3次除菌を実施することになります。
3次除菌は保険適用外の治療なので費用負担が増加します。
除菌成功したら胃カメラの検査は不要か?
ヘリコバクターピロリを除菌しても、胃がん発症のリスクは低下しますがゼロになるわけではありません。
また、除菌しても胃がんの発症頻度は、ヘリコバクターピロリに感染したことがない人と比較すると胃粘膜の萎縮があるため高いことが知られています。
そのためヘリコバクターピロリ除菌後で、症状が無くても、定期的な胃カメラが必要です。
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当院で胃カメラ検査を希望される方へ
当院では身体へ負担の少ない鼻からの検査を行っています。
鎮静剤を希望される場合は車を運転して帰宅できません。
必ず送迎の手段を確保してください。
検査は予約制となっています。
当院へ来院して予約するか、電話(0598-56-2250)にて予約をお願いします。
検査の説明などがあるため、ネット予約は受け付けておりません。
YouTube動画でも解説しています。
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