三重県松阪市の医療と介護の専門家 

LINE@に登録して西井医院とお友達になりませんか

定期健康診断の目的 ~事前準備は不要です~

 
この記事を書いている人 - WRITER -
1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
詳しいプロフィールはこちら

スポンサーリンク

今日から6月になりました。

そろそろ職場の定期健診が本格的に始まりだした会社が多いと思います。

 

定期健診の目的

基本的に定期健診は(会社側にとって)就労区分を経て就業上の措置を行うことと、保健指導などを通じて脳卒中や心臓発作などの深刻な病を防止するものです。

 

定期健診の内容

定期健診の検査項目は法律で定められています。

勝手に減らすことは出来ません。

(条件を満たすと可能です)

具体的な検査項目を下記に示します。

① 既往歴及び業務歴の調査、喫煙歴、服薬歴などの調査

② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

③ 身長(※1)、体重、視力及び聴力、腹囲(※2)の検査

④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査(※3)

⑤ 血圧の測定

⑥ 貧血検査(赤血球数・血色素量)

⑦ 肝機能検査(GOT(AST)・GPT(ALT)・γ-GTP)

⑧ 血中脂質検査(LDLコレステロール・HDLコレステロール・トリグリセリド(中性脂肪))

⑨ 血糖値 or HbA1c

⑩ 心電図検査

⑪ 尿検査:尿糖と尿蛋白

省略できる一定の基準

※1:身長:20歳以上の者について身長は測定省略が可能

※2:40歳未満のもの、妊婦、BMIが20未満のものなどは医師の判断で省略可能

※3:喀痰検査:胸部エックス線検査で病変が確認できない場合は省略が可能

※4:⑥~⑩の項目については、40歳未満(35歳は除く)の者は省略が可能

これらの項目は脳・心臓疾患による過労死予防を目的に選ばれた検査項目です。

胸部レントゲンは結核対策が主だった時代の名残でしています。

肺がんの早期発見目的ではありません。

がんの早期発見はがん検診になります。

スポンサーリンク

 

健診項目からみる企業の従業員への考え方

健診項目は条件を満たすと省略可能となっています。

省略可能ならコスト削減のため止めておくと考えるのは企業は営利目的であるため仕方ありません。

しかし人材は宝と考えるなら、人材の健康管理にコストをかけるということもある意味営利的です。

色々な企業の健診結果を見る機会がありますが、大手企業ほど法定項目以外も検査をしていることが多い傾向にあります。

肥満や脂質異常、若年の糖尿が多いこと、さらにどの検査を受けてどの検査を受けないということを社員ごとに判断する管理コストを考えれば、全部受けさせてしまえとなるのかと思います。

スポンサーリンク

 

定期健診を受ける準備

健診やがん検診は学校のテストではありません。

肝機能の値を下げようとして数日前から禁酒をしたりする準備は不要です。

あくまで普段通りの生活をしている状態で受けることで正しい身体の状態を評価できます。

要再検」や「要精査」、「要加療」と判定されたくない気持ちは分かりますが、結果的には自分のためになります。

スポンサーリンク

 

定期健診以外の健診

労働衛生対策上、特に有害であるといわれている業務に従事する労働者を対象として実施する「特殊健康診断」の実施も労働安全衛生法で定められています

 

特殊健康診断の種類

  • じん肺健康診断
  • 高気圧家業務健康診断
  • 除染等電離放射能健康診断
  • 四アルキル鉛健康診断
  • 特定科学物質健康診断
  • 鉛健康診断
  • 有機溶剤健康診断
  • 石綿健康診断
  • 歯科健康診断

私もレントゲンやCTを扱う関係上「除染等電離放射能健康診断」を定期健診とは別に年1回行っています。

 

(企業側の)健診の取り扱い

定期健診は企業側にとっては受けさせて結果を伝えてお終いにはなりません。

所見の有無にかかわらず受診者全員に健康診断の結果を文書で通知する必要があります。

従業員規模が50人以上の事業場は、所轄労働基準監督署へ結果報告の義務があります。

スポンサーリンク

 

健康診断も法改正があります

ちょっと前の平成20年には測定項目に腹囲が入り「メタボ健診」と言われました。

最近では平成29年に改定があり、労働安全衛生規則が改正されています。

事業者は、各種健康診断の有所見者について医師・歯科医師が就業上の措置等に関する意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならない』

簡単に言うと医師への情報提供が義務化されました。

また個人情報保護法が改正され、

『「人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴・犯罪被害の事実」が要配慮個人情報として改めて定義され、配慮して取り扱うよう定められた』

健康診断の結果や保健指導の内容など健康に関する情報は、いずれも要配慮個人情報として改めて定義されました。

また要配慮個人情報は、本人の同意なく取得したり、第三者へ提供することをしてはいけないと義務化されました。

個人情報の取り扱いは今まで以上の配慮が必要です。

スポンサーリンク

 

健診に行く時間がなかなか無い人・行くのが面倒な人へはネット健診

仕事が忙しく、なかなかがん検診に行けない人や、自営業のため会社での健診が無い人にはネット健診もあります。



 

YouTube動画でも解説しています。

スポンサーリンク

この記事を書いている人 - WRITER -
1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
詳しいプロフィールはこちら




- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© 西井医院の院長ブログ , 2018 All Rights Reserved.