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長びく咳は注意! 病院で調べましょう

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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時々「咳が続く」といって受診される方がいます。

大抵は1週間程度の咳です。

医学的に咳が長く続くは2週間が目安です。

2週間以上続いていると、画像検査などが必要と判断します。

(もちろん、呼吸が苦しいなどの訴えがある時は早々に検査します。)

 

咳の起こる仕組み

咳は、気道内の異物を体の外に排出しようとする働きです。

食事や水分を飲んでむせる時には咳が出るのは同じ仕組みです。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/20_seki/ より

 

2週間以上続く咳は風邪ではない

2週間以上も咳が続くときは風邪の可能性は低いです。

風邪の原因は80~90%がウイルスです。

残りが細菌が原因です。

風邪のウイルスは体内に侵入して増えますが、増殖する力が弱く、2週間も生きることができません。

安静にしていれば自然に治ります。

細菌性の風邪はウイルス性の風邪に比べて症状が重くなることもあります。

しかし抗生物質を使うことで速やかな治療が可能なことが多いです。

「風邪がなかなか治らず、咳が続く」というときは、何か他の病気を合併している可能性を考えます。

 

長引く咳の原因

重大な病気としては肺がん結核間質性(かんしつせい)肺炎心不全などがあります。

これらの病気を疑う時は速やかに呼吸器専門医のいる総合病院へ紹介です。

血液検査や胸部レントゲン、CT検査などを行い調べます。

 

重篤ではありませんが、長引く咳で疑うものは「咳喘息(せきぜんそく)」と「COPD(シーオーピーディーと読みます。):慢性閉塞性肺疾患」です。

また、高齢者の肺炎は咳以外の症状が乏しくなかなか気づかれないことがあります。

 

咳喘息とは

気管支喘息の一歩手前の状態が咳喘息です。

気道の粘膜がウイルスや細菌以外の原因で炎症を起こし、粘膜が敏感になった結果、ちょっとした刺激にも反応してしまう状態です。

ホコリや湯気、冷たい空気、香り、花粉などのささいな刺激に敏感に反応して激しい咳が出ます

元々気管支が敏感な人が風邪をきっかけに気管支が荒れて発症することが多いです。

咳喘息は、放っておくと気管支や肺が固くなり、気管支喘息へと移行するリスクが高くなります。

適切な治療を早期にすれば、気管支喘息へと移行せずに治ることも多い病気です。

 

COPDとは

長引く咳の原因として最近増えているのがCOPDです。

COPDは重症になると酸素が手放せなくなります。

最近では落語家の故桂歌丸さんが酸素をしながらテレビに出ていたのを覚えているかもしれません。

COPDの原因は、(日本では主に)タバコです。

中国など大気汚染のひどい国では、汚染された空気も原因となっています。

COPDは空気やタバコの煙に含まれる有害物質を吸引することで肺に炎症が起こり、最終的には肺の機能が低下します。

喫煙者の15~20%が発症するといわれます。

喫煙歴が長く、1日に吸う本数が多い人ほど重症化しやすくなります

 

高齢者の肺炎

若い人の肺炎は咳だけでなく高熱も伴い、早期に受診し発見されることが多いです。

しかし高齢になると、免疫反応力の低下もあり熱はあまり上がらなくなります。

そして咳反射も低下してきます。

異物(食物や自分の唾液など)が入ってきてもすぐにむせて咳込まず、肺に入れてしまうことがあります。

明らかな肺炎の症状がなく、何となく元気がない、食欲がないという状態のため気づかないうちに進行し、重症化してしまうことがあります。

高齢者に多い誤嚥性(ごえんせい)肺炎はこうして生じます。

 

まとめ

  • 長引く咳は風邪ではありません。
  • 長引く咳には肺がんや結核、間質性(かんしつせい)肺炎、心不全、高齢者の肺炎などの重篤な病気が隠れていることがあります。
  • 咳喘息、COPDといった慢性の咳をきたす病気もあります。
  • 咳がなかなか止まらない時は医療機関を受診して、胸部レントゲンやCT検査を行い調べてもらいましょう。

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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