冷え性の種類別お勧めの漢方薬~冷え性の種類を知って使い分け~
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以前のブログで冷え性には種類があり、種類別のお勧め食材を紹介しました。
今回は冷え性の種類別にお勧めの漢方薬についてです。
0. 東洋医学的に「冷え性」とは
「冷え性」という言葉は西洋医学ではありません。
先ずは冷え性の説明です。
東洋医学での冷え性
「冷え」については、他の多くの人が冷えていると感じないような状況で、全身もしくは部分的に冷たさを感じる状態です。
男性よりも女性に多くみられ、様々な病態の成因や増悪因子となります。
保温や加温によって症候が改善することもあります。
漢方医学的に考えると、気・血・水のどの異常も「冷え」を引き起こす原因となり、結果となりえます。
1. 全身が冷える
ダイエットや運動不足が原因が多いです。
筋肉量が少なく、新陳代謝や内臓機能の低下によって起こります。
主な症状手足が冷える、平熱が低い(36.2度以下)、肩こりや生理痛が酷い、よく風邪を引く、すぐに湯冷めする、顔色が青白い、貧血気味などです。
元々高齢者に多いタイプですが、最近は若い女性でも過剰なダイエットによりみられることがあります。
漢方的には「気虚」の状態です。
新陳代謝を良くするために補剤を使います。
お薦めの補剤真武湯、補中益気湯、十全大補湯
真武湯(しんぶとう)
冷えがあってフラフラする。雲の上を歩いているような感じ。下痢や腹痛がある時。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
冷えるだけでなく、体力が無く疲れやすい、すぐ横になってしまい痛くなる時。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
補中益気湯の症状に更に貧血症状が加わった時。
2. 手足の末端が冷える
冷え症の初期段階です。
手足が最も冷えてなかなか温かくなりません。
主な症状脚の色が白くて冷たい、いつも手が冷えきっている、トイレの回数が少ない、むくみやすい、めまいや立ちくらみがする、肌が乾燥しやすい、寝ているときに足がつるなどです。
若い女性に多いパターンです。
漢方医学的には「血虚」が関連していることが多いです。
よく使われるのは当帰四逆加呉茱萸生姜湯や当帰芍薬散です。
当帰芍薬散は下半身の末梢組織血流量を増加させ、上肢の過熱を解消する作用があります。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯は下肢よりも上肢の血流量を増加させる作用があります。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
血行をよくして冷えた体を温め、冷えによる痛みをとる薬です。
「四逆」の「四」とは四肢、「逆」とは「逆冷」のことで、体の末端から冷えが上がっていくことを意味します。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
色白で華奢なタイプで冷えや貧血のあるケースで使われます。
女性の妙薬として有名です。
3. 水分が溜まりすぎで冷える
水分の摂りすぎや、摂った水分を体内に溜めこむことにより体が冷えている状態です。
主な症状便秘気味又は下痢をしやすい、汗をかかない又は汗が止まらない、だるくてむくみやすい、下半身太りが気になる、お腹が張りやすい、水やお茶をよく飲むなどです。
漢方的には「水滞」の状態です。
水毒を改善する苓姜朮甘湯・当帰芍薬散を使います。
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
体をあたため、足腰の痛みをやわらげます。
とくに腰を中心に下半身の冷えが強く、痛みを伴うときに適します。
体力のあまりない方で、尿量や排尿回数が多いことも使用目安です。
4. ストレスで冷える
ストレスで気力が低下が無くなり、全身の血流も悪くなり冷えが起こる状態です。
主な症状倦怠感がありいつもだるい、気持ちが不安定で落ち込みやすい、食欲が湧かない、生理不順、肌にかさつきがありハリがない、不眠又は眠りが浅いなどです。
ストレスを改善するために、
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
- 香蘇散(こうそさん)
- 抑肝散(よくかんさん)
- 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
- 四逆散(しぎゃくさん)
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
といった柴胡(さいこ)を含む漢方がよく使われます。
上記漢方薬の詳細はこちら⇒春のメンタル不調に使う漢方薬の使い分け5選
5. 隠れ冷えタイプ
自覚症状は乏しいです。
暑がりだと思い込んでいる方に意外と多いのが隠れ冷え性です。
実際にはかなり冷えが進行していることもあります。
上記の1から4の冷えが混ざっている場合が多いです。
主な症状手が火照り温かい、イライラして怒りっぽい、口内炎ができやすい、吹き出物ができやすい、顔がカッと赤くなることがある、足の裏がほてる、便秘がちなどです。
隠れ冷え性チェックリスト
□ 比較的薄着なほう
□ いろいろとストレスを感じやすい
□ 睡眠時間が5時間未満の日がよくある
□ 顔や手足がむくみやすい
□ コーヒーを1日5杯以上飲む
□ 朝は食欲がない
□ 手足が温かく冷えの自覚はない
□ 肩こりや月経痛がある
□ くまやくすみが気になる
□ デスクワークが多い
□ 太りやすい
□ イライラしやすい
□ 疲れていてもなかなか眠れない
まとめ
・冷え性にも種類があります。
・冷え性の種類別に漢方薬を使い分けると効果的です。
・漢方薬での冷え性治療は体質を改善していく治療です。
・つらい冷え性を自覚する、寒くなる前からの治療がお勧めです。
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